今度の視察地は、この頃マスメディアの露出度の高い湯田川温泉だった。。ここも以前に大国屋に宿を借りたことがあり、また会えると愉しみにしていた。いい町は何度行ってもいい。また新たな出会いがある。
まわりを山々に囲まれ、程よくコンパクトに集約された温泉地の風景はとても心地良い。誰かの言葉を借りれば風水が良いということになるのだろう。観ていない場所もたくさんあった。朝ミュージアムで地域の方にだだちゃ豆の話を説明を一通り聞いた後、町の周辺部をぐるりと廻った。高橋兼吉棟梁が造ったことを最近になって知った由豆佐売神社も期待していた。実際にいってみるとそれ以前の本殿の方がかなりよかった。今は営業していないものの建物がそのまま残る看板建築、伊藤理容店はいい。県内での有数の理髪店に入るだろう。近代建築の産物のような公共施設もある。看板サイン、入口まわりの細工、鬼瓦袖瓦、目に写る全てのものがこの町を記憶する全てのアイテムだ。
また、県内はもとより全国から注目される鶴岡を中心にした地域特産を生かした食文化の先進地の一端を、この街湯田川も取り組んでいる様相も居眠りしながら聞けた。以前に新庄積雪資料館主催の講演会で高橋恒夫教授が地方地域に受け継がれる食文化こそが地域を語る大事な要素ではあると力説されていたことを思い出す。今やっと、国の施策が、地域が、若者の視線が、職能として、地域に資産として地域おこしの目玉として、食に目を向け動いている。表層的なグルメブームとは違うものと期待したい。「課題は既存の流通経路ではなく独自の販売経路、消費者の確保を手に入れなくてはならないことだろう」と有機農業の達人は言っているという。「ただ、残念なことに都心部の食のスペシャリスト達は、現実には、やはり放射能で汚染された地域周辺、極論すれば東北の野菜には手を出さない。が、今年の猛暑で関西の野菜は不出来で不足しているとのもいう。」とその達人は付け加えたと言う。
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