三吉山頂上から、吾妻、飯豊、朝日、葉山、月山まで見える景色を見たいし、見てもらいたい。そう願いこの三吉山祭典の神事に臨むのだか、なかなかその景色は姿を現わしてくれない。飯豊吾妻の方角は、雪雲のような雲がたなびき、葉山がようやく姿を現す程度だった。午後になり、朝日連峰が姿を現わし、葉山の右に月山も覗けるようになった。昨年の雨模様の別格としても、それまでずーっと、祭典の日の午前中は県内の山々が一望できる景色だった。今日は蔵王の竜山が雪を被っているような景色なのだからしょうがない。もうひとつこの時期の楽しみにしている景色に、参道途中にある水のみ場の蹲踞に、椿が浮かぶ風情も期待しているのだが、蹲踞上の椿の花も未だ硬い蕾のままでこれも叶わず、僅かに、参道脇の咲く、ショウジョバカマとヒトリシズカに逢えたことくらいだった。
この日のお祭りの早朝、我ら氏子は参道の木々にフキナガシをばらしたような色とりどりの布を引掛けて道案内を示しながら頂上へ向かった。その時、丁度、その布を空に流したような虹が眼下に架っていたのがもう一つの本日のハイライトの瞬間だった。
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