山形家づくりの本に以前 掲載させて頂いた時には、”繋ぐ家”と表題したのかもしれない。時を繋ぐ、家族を繋ぐ、自然とを繋ぐ。そんな事を書いたのだろう。もうひとつはのテーマは時を紡ぐことだったのかも知れない。自然素材を多用したもの時の経過と共に表情が変わっていく。天井仕上げはカナダ針葉樹合板コフィた。日本のF☆合板の1/100であることが気に入った。その他の仕上げは、珪藻土を入れた漆喰。知り合いの左官の親方が、窯をもって来て、麻スサ、角叉をを入れ煮炊きし自然のノリを作ってくれた。漆喰の原料となる石灰は、通常の畑にまくような石灰ではなく、石灰の原石を指定した。水に入れるとふつふつと煮炊きの状態になり不純物を含む生石灰がで出来上がる。それらを外内装の壁仕上げのメインにした。その他には、タイの和紙を手に入れ、壁紙、フスマ等に貼った。ノリは小麦粉を水を混ぜ煮る真ノリとした。木材用ののりはアウロ社、塗料はオスモ社(いずれもドイツの自然素材メーカー)。床材等の板は、宮城雄勝町に見にいってアカマツ材を仕入れてきた。時間と共に床は白木から日に焼け色が変わっていく。和紙もそう。自然生石灰の壁は不純物が姿を表し、ブツブツを表れてくる。こうした素材を選んだ根拠は、セルフメンナンスが可能にしたいとの意図であった。漆喰はエーゲ海の島サントリーニではブラシに漆喰をつけ壁、屋根、道の縁まで市民が塗っていたのを目の当たりにしていた。和紙は汚れたら足して貼っていけばいい。床はちょっと大変、米ぬかワックスして力をいれ拭かなけばならない。
次なるテーマは木造の強い構造体をつくり、そのその仕組を内部空間の表情にしたい。全てを同じ仕組でつくりたい。おおよその内装デザインというよりは、架構体をデザインし、それを空間の質に返していくこと。よって軸組を描き、それを現場に伝えることだった。選んた組み手は折置組、追っかけ大栓継ぎなど。今まで見てきた古民家の力強い空間を意図したのかも知れない。時代に添い寝して消耗されるデザインよりは、無垢の素材が時空間を奏でる。ただ、今にして思うことは、屋根断熱は、茅葺き民家ではかなり厚いストローが断熱性能を発揮する。400〜500mmはあろう。現代のいずれの仕様もその性能までに至っていないように思う。
随分手間のかかることをしたと思うが、この家屋は、私と家族が住む住宅である。ここからセルプビルド、設計から工事までトータルプロデュースに目ざめていく。ペーパーアーキテクトにはなりたくない。現場が動き出しても、限られた時間コストの範囲で試行錯誤繰り返し、完成までもっていく。
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