「しんチャン、こうチャンを知っているの?」「???・・・・」こう話かけられた。しんチャンというのは地元で呼ばれる私の名で、こうチャンとは、果たしてと思いきや、蟹仙洞の長谷川浩一館長のことだった。長谷川製糸工場が現役で稼働していた時代に、私の地元からも何人もの女性たちが働きにでていて、未だ幼い長谷川館長は働きにでていたオバチャンたちに「こうチャン」と呼ばれていた。館長は我が庭のように自宅、工場を遊び廻っていたのだろうと思った。
その、工場の部分を買戻し、近代産業遺産として整備したいという強い意志を伺っていたので、「景観まちづくりweek」の最後の事業として3月17日に公開見学会を開催した。集まって下さった人数は20数名、主催者まちづくり塾から、直樹さんと小松くん、地元上山から、こまっちゃんと太一さん、市外からがはるか多く、山形歴史建物研究会の面々、寒河江の設計事務所の所長さん、山大の客員教授、新聞で知ったいう南陽から数名で予想を上回る参加者に、解っている人は解ってるんだな~と(先に声掛けした研究会以外はほとんどフリーで参加)。消防署の指導もあり制限されての公開になったが、日本の産業が世界に打ってでた近代化産業遺産が、操糸場となるものが殆ど残っていないのが事実で、長谷川館長の話を聞き、見学され、ひどく満足された様子だった。上諏訪にある製糸工場の保養施設、温泉共同浴場「片倉館」(国の重文)はたいそう立派でステンドガラスもあり、大きな湯舟にゆっくりと浸かった記憶はあるが。
これからどう生かしていくかは課題としてはあるものの、木造太規模建造物全盛期の建物の姿は美しい。特に架構が特徴的である。