建物が最も輝いて見える時、それは上棟時だ。そのような話を東京の事務所勤め時代のボス内藤さんが話していたように記憶する。美しい架構は時を刻み、建物の存在を無言で語りかける。民家の美しさはそれによるものが大きいだろう。現実には内部空間を伴う空間は断熱やその他の条件により完成時にその架構の全容は隠される。しかしこのprojectでは、足湯、手湯を囲うものであればよく、構造的工法的合理性を整え、架構のデザインをどうするかに集約された。ここでは、伝統的木造工法の渡りアゴの仕口を多用し、金物も補助的に使った。カタチは矩形ではなく、場の拡がりが保たれるモノとした。果たして現実的なものとして立ち上がる担保はないものの、その先の展開に期待したい。未だ見ぬ空間へ。
コメントを残す