以前に投稿した豪農尾形家。そして、今現場にある武家住居。おのずのこの2つを比較しながら、現場の作業を見守り、適切なサジェスチョンをしなければならない。図面での当初の指示は全部済ませてある。修繕の為天井裏に入った棟梁の話、部材交換の為広間の天井材を落としたことで、この建物の修繕の方向がはっきりと見えだした。
話はこうだ。棟梁が1つの釘を見せてくれた。小さなクサビのようだ。和釘だ。(初めて見た)これを使っている部分は古い、建設当時のままだ。上段の間、次の間、多分、主が寝泊りした部屋、この3つの竿縁杉天井が建設当時の天井と解った。決してきれいという訳ではないが、これは残そう。史実を伝える貴重な資料だ。それでは、現況は葭簀を張っていた広間の天井(後に断熱の為、厚く萱等を敷き詰め、その重さで天井がしなっていた。)を落とすと、萱葺き裏と太組の状態が見えだした。大きさはないが、ダイナミックだ。
こうした萱葺きと木組が見える様相を表しているのは、尾形家と一緒だ。事例を参照し当時の常識を考慮すれば、当然、建設時はこのままの空間のはずだ。これもそのままの状態に戻したほうがいい。板間にも戻そう。炉はどうする?
と残すべき骨格が、おのずと決まっていく。
問題は土台が腐っている台所、土壁が落ちた便所等々、この先長く生き長らえる為の部分の修復等山積みだ。
コメントを残す