建築が美しかった時

 近代(現代)建築は感動しない、ある師の言葉。レトリックが見え透いた建築など言うに及ばず。記憶に残る ふつふつと感動を呼び起こす建築は数少ない。意図が解って微笑んでしまうものは数多くあるけれど。
 さて、現場で漸く構造体が建ち上がった。地上に建つ構築物が最も輝いて見えるの時は上等時の架構物が露わになった時だろうという思いはある。これは、私の言葉ではなく先日、山形に訪れたストラクチャデザイナーの渡辺邦夫氏と内藤氏の会話を聞いた記憶が何処かに引っ掛かっているのかもしれない。
お蔵の内部空間を見て「おおっ」と思ってしまうのは、用途を離れて架構に秘めたその無垢なる意志を感じた時に似ている。
さてこの構築物はどうだろ。今の範囲でできる技術の総体であるから、金物で継いだり、ボルトで締めたり、伝統的な、渡りアゴや台持ちの継手と併用しているし、プレカットで刻んでいるが。
鈴木棟梁の図面の読みいい。仕事も手早く、仕事も早いな。プレカット屋の読みは甘いなと思いながら。
それとは別に詳細図を現場用に書き、打ち合わせに控える。

 


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