シャブコンは打たない。

午前の遅い時間に現場の型枠検査に向かった。壁厚の一部よれているところは直してもらった。日曜も出て型枠を一生懸命組んでくれていたからあまり文句を言う気になれない。そして午後、カッパを着て現場に向かった。現場での腰高基礎のコンクリートの打ち放しが始まる。コンクリートの材料の指定でスランプというのがある。水/セメント比の規定である。通常は呼び名18か21を使う。その方が流動性があって鉄筋が混んでいるときは打ちやすい。まして打放しは。しかし、15を指定した。水分が少ない。この方が最終的に固いコンクリートが打てる。ひび割れも少ない。土木のダム現場ではスランプ9も打つと聞く。きれいなコンクリートはそれは魅力的でいいが、最終的にその為柔らかいコンクリート(内輪では、水で薄めたシャブコンと呼ぶ)では本末転倒で、はやり強いコンクリートがほしい。ここは鉄筋が混んでないし、打込み高さもなく分離もし難い。午後3時に生コン車が着き、いよいよコンクート打ちが始まる。突き棒をつくってもらいコンクリの流れに沿って型枠を叩き始める。打設順序は前に現場監督を打ち合わせ済み。できるでけコールトジョイントがでないように。コンクリート打放しは1発勝負だ。コンクリの流れが悪ければジャンカがでる下面を叩き、コンクリの流れに沿って叩く。ここでは杉板型枠を初めて使った。杉板の目が出て味わいのあるコンクリート打放しになる。70年代あたりは結構この型枠を使ったいたはずだ。しかし恐かった。杉板をあまり叩くと目違いがおきる。「設計屋さんが来て一緒に叩いたし、いいコンクリートになる。」「ここ20年でも設計屋さんが叩いたのあったのは初めてだ」とかいろんな事を言われたが、東京修行時代は所員みんなで叩きに行ってた。打ち放しにプライドがあった現場監督だったので、叩き方が悪いと怒られた。父の仕事のサポートでコンクリの打ち込みにも行ってた。
1時間で漸く終わった。現場と一体になったと思えたひとときだった。あとはやはり、きれいなコンクリート打ち放しも見たい。
 
1960年代のブルータニズムの影響もあり、コンクリート打ち放しが内外装に使われることも増え、その後、世界的な建築家安藤忠雄さんの功績のありコンクリート打ち放しは市民権を得たが。「きれいなだけではつまらない。」
 尚、コンクリートはアルカリ性で空気中の二酸化炭素を含む雨だれで、中性化が進み、コンクリートも劣化する。その為黒ズミもでてくる。庇はあった方がいい。それがいやなら、オートクレーブ養生の中性化したPCコンクリートを使うしかない。先日来県し講演なさったSDGの渡辺さんは、早くからPCの推奨者で、彼が構造設計し内藤氏がトータルに設計し建築学会賞をもらった「海の博物館」も塩害を押さえる為PCを使った建物だ。

 


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